コロナ禍での対応(診療所用)

学校医を代表して (歯学博士)岡村貞一

新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株など感染力の高い変異により本来感染しにくい子供にまで感染拡大しています。しかしこれは感染の最終段階を示しているだけで、ワクチン接種もすすみ、子供の重症化は少なく、基礎疾患等のある子供以外は死亡にはいたりません。
3年前の当初より小児科学会の見解によりますと、学校や保育園でのクラスターはないかあるとしても稀で、それよりも心理的圧迫による健康障害のほうが問題としております。学会では教育・保育・福祉施設の閉鎖は感染流行防止の効果は乏しく、子供たちの心身を脅かしていると警告しています。むしろ休むことにより家庭内感染、学習塾、学童保育などで感染リスクが高くなります。
マスクに関しましては、暑さ係数が高く身体的距離が十分とれる場合、スポーツや体育授業などではマスク着用は不要です。但し空気感染が最大のリスクですので、合唱、管楽器演奏、カラオケなどはやはり控え、換気を徹底してください。
子供は屋外で距離をとった活動をさせることは、1日2時間1000ルックス以上の光が必要とされる近視(学校保健統計では第1位に近視、むし歯は第2位に)の予防にもなります。さらにオンラインなどでの勉学を充実させIT後進国を返上しなければなりません。
コロナ対策には免疫力向上からも口腔ケアが大切で、江戸期の日本は風通しのよい木造住宅に住み、便所は外に設け、土足せず、お風呂に入り、口臭の原因や細菌の培地になる舌の清掃もしておりました。幕藩体制は西欧医学を取り入れ、人類が勝った唯一の感染症である天然痘も克服しました。迷ったときは昔の日本人はどうしたか?どちらが自然かを参考にしたいものです。

そして、いきすぎた対策、例えばアクリル板ではなくデスクシールドで被うことや、食事や給食時間を短くしたりする〇〇分ルールとかは厳に慎まなければなりません。咀嚼は生理学的に本能ではなく学習であり、「早く食べなさい」は禁句です。咀嚼力とIQは相関します。
正確でない感染者数で一喜一憂するよりも、感染対策を施したうえで社会経済活動をしていかないといけません。それでなくても少子化衰退途上国日本は、コロナ対策に使った100兆円近い国費をすべて次世代に莫大な借金として負担させることになるのですから。
コロナ禍2020年での小学生のスポーツテスト(新体力テスト)はこの種のテストの開始以来最も低い平均値を示し、2021年はさらに史上最低を記録しております。日本の子供の体格も平均体重・身長ですでに下がり、体力は2極化し体位は退化傾向にあります。
子ども達に今必要なことは、岐路に立った時、どちらが自然かで選んでほしい。例えば、歩ける距離なら車に乗らない、ゲームより屋外で遊ぶ、体幹と姿勢を正しく、(イチロー選手のように)運動は自然なストレッチから始める、甘いお菓子より自然の果物や豆・小魚、(タバコの次に悪い砂糖をやめ自然の味覚教育)、カタカナ食品からひらがな食品へ、光を受ける体内時計に従い早寝早起き朝ごはん、特に硬い食物でなく普通の日本の伝統食を一口30回しっかり噛むことなどです。

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