「滋賀県守山市と高槻市のインプラントと矯正治療」の理事長が手掛けたインプラント症例をご紹介します。当院ではこれまで数多くのインプラント治療を行いましたが、そのうちの1件(難症例)の記録を、初診から治療、メインテナンスまでご覧ください。
性別 | 女性 |
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治療期間 | 2008年7月~2011年12月 |
年齢 | 52代(当時) |
採用した処置・治療 |
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治療に伴うリスク |
リッジエクスパンションやボーンスプレッティンングは骨を広げるため、術後の疼痛や腫脹が発生する可能性があります。下顔面には内出血による出血斑が出現することがあります。場合によっては、1~2週間続きます。 ソケットリフトは稀に上顎洞粘膜の損傷により上顎洞炎が発生することがあります。 |
数本の残存歯がある骨格的反対咬合(俗にいう「受け口」)の治療事例です。残っている歯も重度の歯周病にかかっており、顎の骨(歯槽骨)も薄くもろい状態です。そのため、歯周病治療とともにオッセオインテグレーティドインプラントを使用しました。また、骨幅を広げる「リッジエクスパンション」や「ボーンスプレッティンング」、骨を押し上げる「ソケットリフト」、そして骨量を増やす「GBR法」を用いて、骨との結合力が高いハイドロキシアパタイトコーティングインプラントを埋入しました。
このインプラントを土台に「ボーンアンカードブリッジ」をかぶせて、「テレスコープデンチャー」を装着。または留め具で固定する「アタッチメント義歯」を装着することで、比較的早く咬み合わせを改善し、見た目と機能の回復をはかりました。
骨格性の反対咬合(受け口)の方で、左右の顎関節から雑音がしています。
合わない入れ歯(義歯)のせいで歯茎が腫れ、顎の骨が痩せてしまっています。4本の歯が残っているのですが、どの歯も歯周病が進みグラグラの状態です。歯周ポケットの深さは3~6mmで、出血もみられます。
重度の歯周病による顎の骨の大幅な吸収・破壊が確認できます。また軽度の顎関節症も見られます。
応急処置として旧義歯に奥歯を追加し、また粘膜にあたる部分にやわらかい調整材を施します。そして歯周病の初期治療として抜歯をした後、下顎にインプラントを埋め込み、ブリッジや義歯を使うことにしました。上顎は歯を支える骨を広げ、骨を造成する施術をしてからインプラントを埋め込みます。
これによって咬み合わせを回復。歯の機能や見た目を整えます。また、残った自然の歯が抜けてしまった場合やインプラントが抜けるというリスクにも対応できるように治療することにしました。
インプラントを埋め込む位置を確認するため、パノラマX線撮影やCT撮影をしました。
下顎の骨体は堅固(しっかりしている状態)ですが、上顎の骨は脆弱(もろくよわい状態)なのがわかります。ほとんどの位置で骨がとても薄く、残った自然の歯を支える歯槽骨もかなり少ない状態です。
麻酔後、骨が薄く小さくなっている下顎の骨にインプラントを埋め込むための穴を特殊な装置を使ってあけ、広げ、インプラントを埋め込みました。
麻酔後に患者様の骨を採取。そこに骨補填材(こつほてんざい)を混ぜ、歯を支える骨の増強を行いました。そしてそれぞれの骨の状態に合ったさまざまな方法でインプラントを埋め込みました。
治療計画に基づき、旧義歯の粘膜面にやわらかい調整剤を入れ、移行義歯として装着。下の歯1本は抜歯が必要となったため、やむなく抜歯しました。一次手術後のパノラマX線写真にて、状況を確認しています。
一次手術にてインプラントを埋め込んだ箇所の歯肉を開き、軟組織の治癒や形態の付与を目的とする暫定的な連結部「ヒーリングアバットメント」を仮装着。その後、ヒーリングアバットメントを除去し、「ダイレクトアバットメント」を装着しました。その後印象を採取し、仮歯を作製・装着しました
ダイレクトアバットメントを患者様のお口に合わせた「カスタムアバットメント」に取り替え、装着しました。そしてふたたび印象を採取し、ほかの仮歯を作製・装着していきます。テレスコープ型の義歯も作製し装着しました。
追加のインプラント手術をしました。これは、ブリッジや部分床義歯を避けるためと残っている歯を喪失した場合のブリッジの支えとなるようなインプラントです。麻酔後、ふたたび患者様自身の骨を採取し、必要な部分の顎の骨を増強。そしてインプラントを埋め込みました。患者様から採血した血液を遠心分離器にかけて集めたPRPという高濃度の血小板を術中と術後に使用することで、治りを早くしています。
インプラント上部に「ヒーリングアバットメント」を装着します。
ヒーリングアバットメントを除去し、「ダイレクトアバットメント」を装着。印象採取後、「カスタムアバットメント」を作製、仮装着します。すると、歯周病の症状が改善しはじめ、骨の結合が見られるようになります。
上顎の印象を基に、テレスコープ型オーバーデンチャーの咬み合わせをチェック。その後、「ダイレクトアバットメント」を除去し、「カスタムアバットメント」を装着。テレスコープ型外冠を作製しました。さらに、部分床義歯を新調して装着。患者様のお顔が整い、見た目が回復したことで患者様のご満足度も高まりました。
「カバースクリュー」を除去し、「ヒーリングアバットメント」を仮着した後、「ダイレクトアバットメント」を装着。仮歯を作製・仮着しました。虫歯になった箇所にセラミックインレーを作製して接着。「ジンジバルカフ」を除去し、「フィクストアバットメント」を装着しました。
顎関節症解消のために義歯を調整し、理学療法での治療も行いました。また白金加金、ハイブリッドレジンなどで作製した歯を装着し、さらにホワイトニングを行いました。顎の異音が再発したため、ふたたび咬み合わせの調整を行い、「カスタムアバットメント」から「ボールアバットメント」に変更。アタッチメント義歯を修正・調整し、上部構造を作製・装着しました。
歯周病検査中に出血があったので、スケーリング、ルートプルーニングで対処。それ以外は良好でした。お顔の状態も落ち着き始めています。
義歯の一部のボールアタッチメントを外して修理。その後は、現在も良好な状態が続いています。患者様が転居されたため、転居先の歯科医院様にメインテナンスを依頼しました。インプラントと骨の結合状態もよく、機能的にも見た目にも回復状態が維持されています。